ストレスとがん 回は、介護老人保健施設あおぞらの施設長である、佐藤義基先生のコラムをご紹介します。 近年の研究の進歩により、人体の細胞レベルでのがん化は常に起こっており、そのがん化細胞を排除し、致命的ながんに成長させない防御システムの詳細が解明されてきています。この発がん防御システムがうまく働かない状態になるとがんが成長することになるといわれています。 この発がん防御システムを破壊する大きな原因が、心身へのストレスによって過剰に発生する活性酸素などの酸化物質です。特に精神的ストレスが長期間持続すると、常に交感神経優位の緊張状態のため、活性酸素が大量に発生し、細胞や組織を破壊します。また、交感神経優位の状態ではコルチゾールというホルモンが過剰分泌され、これがNK細胞という免疫細胞を殺し、がん化細胞を処理する働きを低下させます。この2つの作用により、ストレスががんを発生させることになるのです。 がん化細胞が目に見える大きさに成長するには、がんの種類や発生年齢によって差はありますが、大人の場合約10年かかるといわれています。 私は、約2年前に胃の早期がんが検診で見つかり手術を受け、やれやれ助かったと思ったら、昨年の正月に食道がんが発見され、また手術を受けました。幸い、こちらも比較的早期だったので命取りにはなりませんでしたが、自分の過去を振り返ってみると、約15年前から4年間、かなりストレスのある生活をしていたので、そのとき発生したがん細胞をコントロールできずに、腫瘍にまで成長したのだと思います。 そのころ、以前に所属していた医療法人で経営不振の病院を再建するというハードな役割をし、また阪神大震災で自宅が全壊するというストレスにも遭いました。この時期、自分は若くもあり、そんなに強いストレスとは感じていなかったのですが、今から思うと、相当強い緊張状態が続いていたのだと思います。また、その頃は十分に骨休めをして副交感神経優位の状態をつくるという考えも余裕もなかったし、活性酸素を抑えるために抗酸化物質を多く含む食事をするという配慮もなかったことが、がん化につながったのだろうと思います。 私の体験からも、また、がんになった患者さん、知り合いを見ても、まじめな頑張り屋さんが多く、ストレスによる緊張状態ががんを招いたのではないかと思われる人が多いと思います。ストレスががんをつくることは本当だと思います。 ストレスの避けられない人、また、今ストレスを感じている人はぜひ、抗酸化物質の多い食品を摂り、十分に骨休めをして、副交感神経優位の状態をつくる工夫をして、細胞のがん化を抑制する免疫機能を高めるようにして下さい。経験者からのアドバイスです。 現在、私は精神的にストレスをいなす工夫をし、消極的考えは決してしないようにし、全てを肯定的に受け止め、腹を立てず、いらいらしないように精神修養に努め、また、抗酸化物質の多い食事をとるようにし、上手に十分な骨休めをし、ゆったりとした副交感神経優位の状態をつくるようにして、がんの再発、転移が起こらないようにと努めています。 自分を取り巻くすべてに、素直に心から感謝できる心境になれればいいのですが、まだまだです。
介護老人保健施設 あおぞら 施設長 佐藤 義基